三鱗みつうろこ)” の例文
三鱗みつうろこの旗をたまわって、宮方征討に向かったのは、小串おぐし郎左衛門尉ろうざえものんじょう範行のりゆきと、山本九郎時綱とであった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
金の千成瓢箪せんなりびょうたんに又一ツ大きな瓢箪が添わるものだろうか、それとも北条氏三鱗みつうろこの旗が霊光を放つことであろうか、猿面冠者の軍略兵気が真実其実力で天下を取るべきものか。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「わっちだって一升一匁八分なんて酒より、剣菱けんびし三鱗みつうろこの生一本とくるほうが正月だからね、あんなおこぜの生れかわりみてえなすべたの代りに御殿女中だのお姫さまと浮気を」
若殿女難記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
み消したる頼朝は憎けれどまた考へれば義仲には關白松殿の姫君のほか巴山吹などの艶福あり義經には京の君靜御前といふ意氣筋あり頼朝めは政子といふ嫉深しつふかのいけない女に恐れ入り偶々たま/\浮氣らしき事あれば三鱗みつうろこ
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
三鱗みつうろこの定紋の大幔幕を、三方一面に引きまわし、大篝火でそれを照らし、板盾、竹盾で四方を固め長柄、薙刀なぎなたで警護した中を、行く人々来る人々、ことごとく甲胄で身をよろっていた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)