三筋町みすじまち)” の例文
それから父と二人は二人乗の人力車じんりきしゃで浅草区東三筋町みすじまち五十四番地に行ったが、その間の町は上野駅のように明るくはなかった。
三筋町界隈 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
そうして、柳町から六条へ移り、「新屋敷」の名が「三筋町みすじまち」となり、三転して今の朱雀すざくへ移って、「島原」の名を得たのが、寛永十八年ということで。
以前用たしで浅草の三筋町みすじまちを通った時に或る葉茶屋はぢゃやになかなか好い狆がいたことを思い出したので、早速出掛けて行って見ると、店先にチャンとその狆はいる。
自動車は十二時過ぎの夜半の街衢まちを千束町の電車停留所を左にカーヴし、合羽橋かっぱばし菊屋橋きくやばしを過ぎて御徒町おかちまちに出で、更に三筋町みすじまちの赤い電灯に向って疾走して行きました。
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)
「今日はネ、須賀町すがちょうから三筋町みすじまちへ廻わろうと思ッてうちを出たんだアネ。そうするとネ、須賀町へ往ッたらツイ近所に、あれはエート芸人……なんとか言ッたッけ、芸人……」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
えゝ、浅草に三筋町みすじまちと申す所がある。是も縁で、三筋町があるから、其の側に三味線堀というのがあるなどは誠におかしい、それゆえ生駒いこまというおやしきがあるんだなんぞは、あとから拵えたものらしい。
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三筋町みすじまちからこゝまで何時間かゝれァいゝんだ?」
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
学校の課程が済むと、小川町どおりから、神保町どおりを経て、九段近くまでの古本屋をのぞくのが楽しみで、日の暮れがたに浅草三筋町みすじまちの家に帰るのであった。
呉秀三先生 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)