三圍みめぐり)” の例文
新字:三囲
三升ばかり取り分けて驅け出さうとすると吾妻橋手前で、幸ひ知つてる船頭衆に逢つて、三圍みめぐり前のお船まで小船で送つて貰ひました。
夕立や田をみめぐりの神ならば——と俳聖が干天ひでりに祈つた三圍みめぐり神社も、もう香夢洲むかふじまの名所でもなくなつてしまつた。
河風 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
平次は三圍みめぐりの前に來た時、どての下を覗きました。其處に繋いだ一艘の屋根船の中には、上をしたへの大騷動が始まつて居るのです。
「すると、三圍みめぐり前にお船のとまつて居る事を知つた者が楊弓を用意して、丁度月の出前の暗い時刻を見測みはからつて射たと見るのが順當で御座います」
寶井其角が『三圍みめぐり』の發句ほつくを詠んで、夕立を降らせたといふ傳説が、眞面目に信ぜられた時代の人達の心持は、今の人には想像もつかぬものがあつた筈です。
向島の三圍みめぐりの藤屋の寮は、江戸中の閑人ひまじんと金持と洒落しやれ者を、總仕舞にした程の賑はひでした。
「待てよ、向島の三圍みめぐりでは、小判を拾つた客があるさうぢやないか」
一度あることは二度あると見て、手代の源七に頼んで置いたのだ。三圍みめぐりから柳橋までかねて用意した猪牙ちよきで漕がせ、柳原から一氣に驅けて來ると、俺の家まで四半刻(三十分)で來られるよ。今度は曲者を