“ほおずき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
酸漿71.7%
鬼灯22.6%
鬼燈1.9%
海漿1.9%
王母珠1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
真菰まこもの畳を敷いてませ垣をつくり、小笹の藪には小さな瓢箪と酸漿ほおずきがかかっていた。巻葉を添えた蓮の蕾。葛餅に砧巻。真菰で編んだ馬。
黄泉から (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
歪形いびつのペシャンコの亜鉛トタンの洗面器が一つ放ったらかしで、豆電灯まめでんき半熟はんうれの鬼灯ほおずきそのまま、それも黄色い線だけがWに明ってるだけだから驚いた。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
わっ……とさけぶ間に、その燕尾の如く刎ね返った切ッ先にあたって、御池十郎左衛門の顔は、破れた鬼燈ほおずきのように染まった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大きな鬼燈ほおずきみたいな頭が、武蔵の側を勢いよくよろけて、伝七郎の方へ泳いで行った。その歩いて行った死骸につづいて、武蔵の体も咄嗟に——敵の胸を蹴飛ばしたかと思われるほど高く跳んでいた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
波が出て来たらしく、サイドがかすかになってきた。船も子守うた程に揺れている。腐った海漿ほおずきのような五燭燈でストーヴを囲んでいるお互の、後に落ちている影が色々にもつれて、組合った。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
実のった丹波王母珠ほおずきほど紅うして、罪もなき高笑いやら相手もなしの空示威からりきみ、朋輩の誰の噂彼の噂、自己おのれ仮声こわいろのどこそこで喝采やんやを獲たる自慢
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)