“ふすま”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:フスマ
語句割合
86.0%
12.2%
襖子0.4%
紙門0.3%
麦糠0.3%
0.3%
紙襖0.1%
襖紙0.1%
銀襖0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
寝床の敷いてある六畳の方になると、東側に六尺の袋戸棚ふくろとだながあって、そのわき芭蕉布ばしょうふふすまですぐ隣へ往来ゆきかよいができるようになっている。
変な音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
チチ、チチと、小禽ことりの声がする。客殿の戸のすきまから仄白ほのじろい光がさす。夜明けだ。頼朝は、声なく、叫びながらふすまを蹴って起きた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
八頭やつがしらの芋を洗ふやうにお照は榮子の頭を畳にりつけりつけして、そして茶の間へ出て襖子ふすまを閉めてしまつた。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
要もないに明て見て何か探す容子、箱丁はこやがそっと入れて行った三味線は、棹を継れたまゝ座敷境の紙門ふすまの下へ片寄かたよせられ、客も芸妓も居るか居ないか疑われるほどの静かさであった。
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
大方は米糠や麦糠ふすまを糧にし、対屋の梁を伝う、やまかがしや青大将はご馳走のうちで、荘園の上りを持たぬ官務や神祇官は、わらび根や笹の実を粉にして、枯渇した腹の養いにしているという。
奥の海 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
……牧草でも、レッドトップならば匂いぐらいはぎまするが、チモーシとなれば、はやもう、鼻面はなづらも寄せん。燕麦えんばくに大豆。それから、ふすまに唐もろこし。
キャラコさん:10 馬と老人 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
折しも紙襖ふすま一ツ隔ててお鍋の声として
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
反古ほごはそばから紙衣かみこや何かに使ってしまい、残っている物といえば、もとの草庵の壁やら襖紙ふすまった古反古ふるほごがあるぐらいでしかございませぬ
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蘭灯らんとう暗く室をらし、閉め切った銀襖ふすまの銀箔も朦朧もうろうとして影暗く、廊下を隔てた中庭の、竹の林のほとりからザワザワと聞こえる風の音さえ、深更だけに物凄い。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その虫は吾々の穀倉を荒らしてふすまだけを残す。他の虫はまたむらさきうまごやしの若草を草刈り手が何んにも刈るものを見当らない程すつかり食べてしまふ。