“ばうばう”の漢字の書き方と例文
語句割合
茫々100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
茫々ばうばうとした枯野の暮色が、一痕いつこんの月の光もなく、夢のやうに漂つてでもゐたのかも知れない。
枯野抄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
陰晴いんせい定りなき感情の悲天の下に、或は泣き、或は笑ひて、茫々ばうばう数年の年月をけみせしが、予の二十一歳に達するや、予が父は突然予に命じて、遠く家業たる医学を英京竜動ロンドンに学ばしめぬ。
開化の殺人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
僕の意識してゐない部分は、——僕の魂のアフリカはどこまでも茫々ばうばうと広がつてゐる。僕はそれを恐れてゐるのだ。光の中には怪物はまない。しかし無辺の闇の中には何かがまだ眠つてゐる。
闇中問答 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)