“はぜ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
沙魚32.8%
28.7%
24.6%
黄櫨6.6%
1.6%
0.8%
0.8%
河鯊0.8%
0.8%
稲架0.8%
迸裂0.8%
鯊魚0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
此の時、宛も下婢かひの持ち出でゝ、膳の脇に据えたるさかなは、鮒の甘露煮と焼沙魚はぜの三杯酢なりしかば、主人は、ずツと反身になり
元日の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
そんな中に、はぜの樹のみは、晩秋から初冬にかけての日光を、自分ひとりで飲み飽きたかのやうに、まばらに残つた葉が真赤に酔ひほてつてゐる。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
ノルマン風の犬歯状の模様が、巨大なはぜの口に似たある感じを与えて、底知れぬ暗さのうちに、アーチ中にかすかに残っていた。
黄櫨はぜ山葡萄やまぶどうが紅葉しており、池には白い睡蓮すいれんが咲いている。駒ヶ岳は先年の噴火の時に浴びた灰と軽石で新しく化粧されて、さわったらまだ熱そうに見える。
札幌まで (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
いくら釣っても、ざすふなはかゝらず、ゴタルと云うはぜの様な小魚こざかなばかり釣れる。舟を水草みずくさの岸にけさして、イタヤの薄紅葉うすもみじの中を彼方あち此方こちと歩いて見る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
崖の下り口に立つ松のあいだの、かえでは、その紅葉が今では汚い枯葉になって、紛々として飛び散る。縁先の敷石の上に置いた盆栽のはぜには一二枚の葉が血のように紅葉したまま残って居た。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
鼠色ねずみいろしたその羽の色と石の上に買いた盆栽のはぜ紅葉こうようとが如何にあざやかに一面の光沢つやある苔の青さに対照するでしょう。
監獄署の裏 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
油で菜をいため、干した河鯊はぜをちぎって入れ、水と少量の砂糖と醤油で味付けをしてから、なべに蓋をし、焚木たきぎのぐあいをみた。
失蝶記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それにしては話声もせずかがりはぜる音も聞えぬのは何故であろう? いや、矢張やッぱりおれが弱っているから何も聞えぬので、其実味方は此処に居るに相違ない。
刈った稲束は一たん田のあぜに逆さに並べられて幾日か置かれる。それからやがて本式に稲架はぜにかけ並べられる。
山の秋 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
そこへ塩気しおけがつく、腥気なまぐさっけがつく、魚肉にく迸裂はぜて飛んで額際ひたいぎわにへばり着いているという始末、いやはや眼も当てられない可厭いやいじめようで、叔母のする事はまるで狂気きちがいだ。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
水も砂も船も一いろの紅硝子べにガラスのように斜陽のいろに透き通る明るい夕暮に釣人が鯊魚はぜを釣っている広島太田川の宿。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)