“ぬけがら”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
脱殻55.6%
抜殻13.9%
脱穀8.3%
8.3%
脱殼5.6%
抜骸2.8%
空蝉2.8%
脱皮2.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
病後のふるえの見える手で乱れ書きをした消息は美しかった。せみ脱殻ぬけがらが忘れずに歌われてあるのを、女は気の毒にも思い、うれしくも思えた。
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
だけど、そんな知識を振翳ふりかざしたって何になるでしょう。そんな学問はただの装飾です。いくらくれないあや単襲ひとえがさねをきらびやかに着込んだって、たましいの無い人間は空蝉うつせみ抜殻ぬけがらです。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
べらぼうめえ、えものは無えやナ、おれの脱穀ぬけがらを持って行きゃ五六十銭はよこすだろう。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それは只今言った通り蛇の腹の多数の麟板の後端が格子の木の外面にある些細な凸起にかかり着いて、ぬけがらを損せずに尾を持って引き出し得ぬと判り
その当時晴代はたましひ脱殼ぬけがらのやうな体のがなくて、責任を負はされてゐる両親や多勢の妹たちがなかつたら、きつとあの時死んでゐたらうと思はれる程だつた。
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
あの獣臭いむくろだけを私に残しておいて、いずこかへ飛び去っておしまいになり、そのうえご自分の抜骸ぬけがらに、こんな意地悪い仕草しぐさをさせるなんて、あまりと云えば皮肉ではございませんか。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
菱餅も焼くのを知って、それが草色でも、白でも、紅色でも、色の選好よりこのみは忘れている、……ああ、何という空蝉ぬけがらの女になったろう、と胸が一杯になったんですよ。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
本邦で蛇の脱皮ぬけがらで湯を使えばはだ光沢を生ずと信じ、『和漢三才図会』に雨に濡れざる蛇脱へびのかわの黒焼を油でって禿頭はげあたまに塗らば毛髪を生ずといい