“とっく”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
36.4%
取組22.7%
18.2%
13.6%
最前4.5%
4.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「ええ、突然。本当を云うと、突然なんてものはとっくむかしに通り越していましたね。あっと云ってうしろを向いたら、もう結婚していたんです」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
金三はあごをしゃくいながら、桑畑のくろへ飛び出した。良平もべそをかいたなり、やむを得ずそこへ出て行った。二人はたちまち取組とっくみ合いを始めた。
百合 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
落ち着いてとっくりと考えてみるつもりでしたが、まんじりともせず懊悩し切った頭には、もうそういう冷静な思考力や判断力なぞは、ことごとくせてしまいました。
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
初め此方こっちが世話になったのは、とっくに恩は返している。何倍此方が尽しているか知れやしない。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「旦那様ですか。もう最前とっく御出掛おでましに成りました。貴方、奥様は先刻さっきから御待兼で御座ますよ」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「もう最前とっくに寝て了いました」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
時次郎はとっくけんし、「うむ、心臓むね小刀ナイフが。……」言懸けて照子をれば、まなじり釣って顔色あおく、唇はわななけり。召したる薄色の羽織の片袖血潵ちしぶきを浴びてくれないしずく滴る。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)