“だき”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ダキ
語句割合
唾棄44.9%
惰気16.8%
15.9%
舵機5.6%
舵器5.6%
2.8%
1.9%
柁機1.9%
1.9%
堕気0.9%
懶気0.9%
0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかしここに体得せられた真理が、堂塔の建立に腐心することを唾棄だきし、一切の財欲を排斥した道元の真理と同一であるはずはない。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
かれは大いに疲労して、白昼はくちうの凡てに、惰気だきを催うすにも拘はらず、知られざる何物なにものかの興奮のために、静かなほしいまゝにする事が出来ない事がよくあつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
お辰かと珠運もだきしめてひたいに唇。彫像が動いたのやら、女が来たのやら、とわつたなく語らば遅し。げんまたげん摩訶不思議まかふしぎ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
コンパスは狂いつづけ、舵機だきや、スクリウは、僕の命令に従わない。僕は、把手ハンドルから手を離し、呆然ぼうぜんとして腕組みした。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
「閣下、本艦は日本潜水艦に、舵器だきを半数破壊されました。したがって速力が半分に減じまするから、至急、隣に居りますソルトレーキへ御移りを願います」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
雨気あまけをもった夜風が、向こうの関東だき屋の低い小さな屋根の上のペンペン草を、あるかなきかに揺っていた。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
ああ醉心地、だきしめに
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
しかるに安済丸は海にうかんで間もなく、柁機だきを損じて進退の自由を失った。乗組員は某地より上陸して、許多あまたの辛苦をめ、この年五月にようよう東京に帰った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
橋は心覚えのある石橋いしばし巌組いわぐみである。気が着けば、あの、かくれだきの音は遠くだう/\と鳴つて、風の如くに響くが、かすれるほどの糸のも乱れず、唇をあわすばかりの唄もさえぎられず、嵐の下の虫の声。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
心によこしまがあれば邪が——心に堕気だきがあれば堕気が——匠気しょうきがあればまた匠気のあとがおおい隠しようもなく遺る。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
退屈はやがて、気懶けだるいものを誘ってくる。懶気だきは禁物といましめている武蔵にとって、そう気がつくと、わずかな間も、こんな所にいられない気がしてくる。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこはかとなく心に染むそらだきもの。たゆたひ勝ちにあはれを語る初更のさゝやき。深くも恥らひつゝ秘むる情熱——これらの秋は日本古典の物語に感ずる風趣である。秋それ自身は無口である。
秋の七草に添へて (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)