“そそう”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
沮喪37.3%
粗相30.7%
麁相4.7%
粗匇4.7%
粗忽4.0%
疎匇2.7%
粗匆2.7%
疎匆2.0%
麁匇1.3%
粗怱1.3%
過失1.3%
阻喪1.3%
祖宗1.3%
鼠巣1.3%
蘇双0.7%
疎相0.7%
粗糙0.7%
粗鬆0.7%
麁想0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それは姉の死以来意気沮喪そそうしてしまい、ナタン夫人の連中の間である悲しい恋愛の経験をしたために、さらに落胆した時期だった。
家中うちじゅうのものが、そのために不自由をする。あたしゃ、お前さんが気の毒だから、万一の粗相そそうがないように、そういってあげたまでだ。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
こんな見方は、西洋では見られぬ。「茶」の方では美の理念として「麁相そそう」を説き、「閑味」を云々する。「麁」は粗で、荒々しいすがたである。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
庄造に云はせると、此の猫は決して粗匇そそうをしない、用をする時は必ずフンシへ這入ると云ふ。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
これに吃驚びっくりして、何の事とも知らないで、気の弱い方だから、もう、わびをして欲しそうに、夥間なかまの職人たちを、うろうろとみまわしながら、(な、なんぞ粗忽そそうでも。)お師匠筋へ手をつくと
「あっ、これは疎匇そそうを」と叫びつつ、あわてて引き起こし、しかる後二つ三つ四つ続けざまに主人に向かいて叮重ていちょうに辞儀をなしぬ。今の疎忽そこつのわびも交れるなるべし。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「なおまいってよく粗匆そそうのないよう注意ちゅういいたせ。それから千人の食事しょくじのしたくをもうつたえてくれ」
四又の百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「実は何でございます、飛んだ疎匆そそうをいたしやして、へい。ねえ、お道どん、こういう訳なんだ、実は、」
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
旦那、どちらの麁匇そそうか存じましないけれども、で、ございますね。飛んだことでございます。この娘は嫁にやります大切な身体からだでございます。はい、鍵をお出し下さいまし、鍵を
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
松どんに水をんでもらって井戸端へ出られないなど散々気をみましたが、先方では、何か私に対して粗怱そそうでもあったかなど物固い人たちとて気にし、どういう訳で中途で帰られたか
けれども間もなく銀行の人と結婚するから構わない。お島も相変らず軽率そそっかしい。過失そそうをすると何時でも乃公にかずける。此んな事は気にはかけないが、大臣にならない中に学校を退校されそうだ。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
独逸ドイツの前線にも、聯合国側ほど豊富に女性の慰問の手紙や篤志とくし看護婦がどんどん行っていたら、戦争の末期に、あんなひどい意気の阻喪そそうの仕方はしなかったろうという事も聞いて知っています。
キャラコさん:04 女の手 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
祖宗そそう富貴ふうき詩書ししょの中より来たる、祖宗の家業は勤倹の中より来たる」と。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
けれど今日となつてみると、鼠巣そそうを燒くために家まで燒いてしまつた觀がないでもない。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
ここへきた馬商人あきんどの一隊のかしらは、中山ちゅうざんの豪商でひとりは蘇双そそう、ひとりは張世平ちょうせいへいという者だった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甥の蘇双そそうと二人して、馬商人に身を落し、市から馬匹を購入して、北国へ売りに行こうとしたのですが、途中まで参ると、北辺の山岳にも、黄賊が道をふさいで、旅人の持物を奪い
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
本箱などが幾つも積重なって居りますから、疎相そそうな事をした、用場かと思って大切な書物のある処を無闇に明けて済まないと、そっと閉めようとすると、昔の屋敷女やしきもので足袋を穿いて居るのに
二葉亭の家では主人の次には猫が大切だいじにされた。主人の留守に猫に粗糙そそうがあっては大変だといって、家中うちじゅうがどれほど猫を荷厄介にやっかいにして心配したか知れない。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
従って内部が次第に海綿状に粗鬆そそうになると同時に膨張して外側の固結した皮殻ひかくに深い亀裂を生じたのではないかという気がする。
小浅間 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
其後そのごものごとにねんれて、ひに麁想そそうをせぬやうにりぬ、世間せけん下女げぢよつかふひとおほけれど、山村やまむらほど下女げぢよかはいゑるまじ、つき二人ふたり平常つねこと
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)