“こわごわ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
怖々48.6%
恐々39.0%
怕々3.8%
恐怖2.9%
可恐々々1.0%
強々1.0%
怖怖1.0%
恐恐1.0%
恟々1.0%
硬々1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
怖々こわごわながら一と足ふみ込んで透かして視ると、そこに転げているのは女であった。猫婆のおまきであった。お初は声をあげて人を呼んだ。
半七捕物帳:12 猫騒動 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
桃井は、このとき初めて、なにか異常なものを彼女の眉に知って、つい、高氏への取次ぎを、恐々こわごわながら引きうけて退がってしまった。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さすが気丈の赤堀先生もぎょっとなりまして怕々こわごわすかして見ましたところ、子按摩はやはりいたので厶りました。
十万石の怪談 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
耄碌頭巾もうろくずきんに首をつつみてその上に雨をしのがん準備よういの竹の皮笠引きかぶり、鳶子合羽とんびがっぱに胴締めして手ごろの杖持ち、恐怖こわごわながら烈風強雨の中をけ抜けたる七蔵おやじ、ようやく十兵衛が家にいたれば
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
内が余り寂然ひっそりしておるので「お源さん、お源さん」と呼んでみた。返事がないので可恐々々こわごわながら障子戸を開けるとお源は炭俵を脚継あしつぎにしたらしく土間の真中まんなかはりへ細帯をかけて死でいた。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
強々こわごわしく非音楽的な言いようをすればいことも悪く思われる。乳母めのとふところ育ちのままで、何の教養も加えられてない新令嬢の真価は外観から誤られもするのである。そう頭が悪いのでもなかった。
源氏物語:26 常夏 (新字新仮名) / 紫式部(著)
髪の結様ゆいようどうしたらほめらりょうかと鏡にむかって小声に問い、或夜あるばん湯上ゆあがり、はずかしながらソッと薄化粧うすげしょうして怖怖こわごわ坐敷ざしきいでしが、わらい片頬かたほに見られし御眼元めもと何やらるように覚えて
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
此方こっち恐恐こわごわ声をかけながら近寄って行くと、急いでお堂の中へ逃げ込もうとするので、掴まえようとしたところが、えらい力で抵抗してなかなか云うことを聴きませんでしたよ。
紀伊国狐憑漆掻語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
もっとも宿を出る時、外套はと気がさしたが、借りて着込んだ浴衣ののり硬々こわごわ突張つっぱって、広袖のはだにつかないのが、悪く風を通して、ぞくぞくするために、すっぽりと着込んでいるのである。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)