“こまいぬ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
狛犬66.7%
高麗犬8.3%
高麗狗8.3%
5.6%
石狛5.6%
牡狗2.8%
高麗狛2.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
徳永が嘆願する様子は、アラブ族が落日に対して拝するように心もち顔を天井に向け、狛犬こまいぬのようにうずくまり、哀訴の声を呪文のように唱えた。
家霊 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
二人が帰って行く道は、その路傍みちばた石燈籠いしどうろうや石造の高麗犬こまいぬなぞの見いださるるところだ。三めんを有しいのししの上に踊る三宝荒神のように、まぎれもなく異国伝来の系統を示す神のほこらもある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
石の階段きざはしは雨風に打たれて弓状ゆみなりに沈み、石の高麗狗こまいぬは二つながらごろりと横倒しになっている。
旧知己とは、社前に相対してぬかづいて居る一双の石のこまいぬである。詣づる人又人の手に撫でられて、其不格好な頭は黒く膏光あぶらびかりがして居る。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
自分は昔、よく友人と此処へ遊びに来ては、『石狛こまいぬよ、汝も亦詩を解する奴だ。』とか、『石狛よ、汝も亦吾党の士だ。』とか云つて、幾度も幾度も杖で此不格好な頭を擲つたものだ。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
境内には松杉銀杏いちょうの大樹が繁茂して余程広うございます(寳暦ほうれきの年号が彫ってあります)牝狗あまいぬ牡狗こまいぬの小さいのが左右にあり、碑が立って居て、之にたし鐵翁てつおうの句がございまして
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
朱を刷いたような艶々した赭ら顔は年がら年中高麗狛こまいぬのように獅子噛み、これが、生れてからまだ一度もほころびたことがない。
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)