“かわいそう”のいろいろな漢字の書き方と例文

語句	割合
可哀想	36.4%
可哀相	35.5%
可愛想	11.2%
可愛相	9.3%
愍然	3.7%
憫然	2.8%
可憐想	0.9%

可哀想

「ふうん。籤に外（はず）れた奴は可哀想（かわいそう）だな。町には帰省兵（きせいへい）がぞろぞろ歩いているが、実際に町を調べてみると、出掛けたまんまのものばかりだ」

諜報中継局 (新字新仮名) ／ 海野十三(著)

可哀相

「永田の紙屋なんか可哀相（かわいそう）なものさ。あの家は外から見ても、それは立派な普請だが、親爺（おやじ）さん床柱を撫（な）でてわいわい泣いたよ」

壊滅の序曲 (新字新仮名) ／ 原民喜(著)

可愛想

「東京でも所によると二尺位い積った年もあった」というたら、亭主は「へへー、それじゃ祭文語りは可愛想（かわいそう）でした」

白峰の麓 (新字新仮名) ／ 大下藤次郎(著)

可愛相

この宝石をあなたに捧げて……喜んで、満足して、酒を飲んで飲んで飲み抜いて死にたがっている私を可愛相（かわいそう）とはお思いにならないのですか……。

死後の恋 (新字新仮名) ／ 夢野久作(著)

愍然

私はお前の根性が愍然（かわいそう）でならねえ。私がよく言って聞かせるのは、ここだぞよ。

藁草履 (新字新仮名) ／ 島崎藤村(著)

憫然

尼「さア此方（こちら）へお這入りさア／＼擦（さす）って上げましょう憫然（かわいそう）に、此の子が小さい手で押しても、擦っても利きはしない、おゝ酷（ひど）く差込んで来る様だ」

真景累ヶ淵 (新字新仮名) ／ 三遊亭円朝(著)

可憐想

見れば七ツか八ツくらいの男の子、毛糸で編んだ帽子を冠（かぶ）り、小さいジャケツを着ているがやや蒼（あお）ざめたいたいけな顔は可憐想（かわいそう）に涙に濡れている。

水晶の栓 (新字新仮名) ／ モーリス・ルブラン(著)

『思った通りだった……ああ、可憐想（かわいそう）な婦人だ』と一人で呟いた。

水晶の栓 (新字新仮名) ／ モーリス・ルブラン(著)