“かなづち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
金槌51.6%
鉄槌22.7%
鉄鎚11.7%
金鎚7.8%
鐵槌3.9%
鉱石槌0.8%
0.8%
鐵鎚0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
猪之はやけに金槌かなづちの音をさせた。登はお雪から手提げの籠を受取り、あとから茶を持っていく、というのを聞きながら賄所を出た。
翁は、自から大きな鉄槌かなづちを取り上げて、少女の両手を拡げさせて、動脈の打つ手頭てくびのあたりへ五寸釘をち込んで、白木の十字架に打ち附けた。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
彼奴あいつは悪魔だ。お前と俺の生涯をドン底までのろって来た奴だ。今度彼奴に会ったら、鉄鎚かなづちで脳天を喰らわしてやるんだぞ。いいか。忘れるなよ」
鉄鎚 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ビスケットをかごの横木の間に糸で結びつけてやる。すると、彼が食うのはその糸だけだ。彼はまるで金鎚かなづちのような勢いで、そのビスケットを押したり突っついたりする。
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
可哀氣かはいげに、苦勞くらうやみにわづらつて、おびをしめてもゆるむほど、細々ほそ/″\つてるものを、鐵槌かなづちつやうに、がん/\と、あたまへひゞくまでまをしましたわ。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
どれもこれも山男のようなたくましい筋肉きんにくと、獰猛どうもう形相ぎょうそうをもっていて、尻切襦袢しりきりじゅばんへむすんだ三じゃくおびこしには、一本ずつの山刀やまがたなと、一本ずつの鉱石槌かなづちをはさんでいる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
荒仕事あらしごとと山にはれきった者ばかり、手に手にたかのくちばしのように光る鉱石槌かなづちを持ち、木の根にひっかけ、がけによじ、清水しみず岩脈がんみゃくのかたちをさっして、それらしい所をさがしまわっているうちに
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
…鍛冶屋からかなづちで鉄板を打つ耳を掻きむしる様な音が聞え、鎔鉱炉からは赤く火影が差し、煤が渦を巻いて立昇って居た。
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
僕はそれを見て可哀相でたまらんので、そのあとで心を籠めて慰めようと、一二言言ひかくると、彼女かれは曰くサ、いえネ、向うが鐵鎚かなづちで此方も鐵鎚なら火も出ませうけれど、此方は眞綿なんですからね
一家 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)