“おかし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
可笑68.6%
可怪14.3%
可訝7.1%
怪訝2.1%
奇怪1.4%
可恠0.7%
好笑0.7%
0.7%
可愛0.7%
御菓子0.7%
御貸0.7%
滑稽0.7%
0.7%
笑止0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この彼女の可笑おかしさが未来の幾年かを空虚なものにしてしまうのだ。まるで音響のないユダヤ人の才能のように危険なものであった。
恋の一杯売 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
そうだな! 血糊がべっとりついていたというのは可怪おかしいな! こんな雨の中でも見えるほどに血が流れ出していたんでは
蒲団 (新字新仮名) / 橘外男(著)
大道で話をするのが可訝おかしければ、その辺の西洋料理へ、と云っても構わず、鳥居の中には藪蕎麦やぶそばもある。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「は、先刻さっき怪訝おかしな……犬が入りました。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……しかし何故なにゆえ妾がこんな奇怪おかしな事をしていたのかと申しますと、これはジッとしていながら、お二人の行衛を探すのに一番都合の良い工夫だと思ったからです。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いや待て待て。知らずばてうどそれでよい。李下の冠、瓜田の沓。這入て見るも可恠おかしなものと、思はぬではなかつたが。ついこの外を通つたゆゑ。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
さても美麗し、見違えたと見とれて、ふと心付き、たしか従兄の格なりしと、思ひ出しての答礼を。どふやら可恠おかしな御容子と、夫婦が粋な勘違ひ。四方山話もそこそこに。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
「でも何だかそれじゃ好笑おかしいわ。それを御着なさる位なら、まだ今までの方がいいのですもの」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「まあ、好笑おかしいわ」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そこであなたの自ら好んでおおかしになる危険は宜しいのですか。あなたはあの土地で、その手で人殺しの罪を犯して、その罪がまだ贖われずにいるのですよ。
吾妻下駄あずまげたの音は天地の寂黙せきもくを破りて、からんころんと月に響けり。渠はその音の可愛おかしさに、なおしいて響かせつつ、橋のなかば近く来たれるとき、やにわに左手ゆんでげてその高髷たかまげつか
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
椎茸は新しい菓子折に入れてあった。鄭寧ていねいに礼を述べた奥さんは、次のへ立つ時、その折を持って見て、軽いのに驚かされたのか、「こりゃ何の御菓子おかし」と聞いた。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おいちょいとそれを御貸おかしと声をかけて左手を真直まっすぐに千代子の方へ差し伸べた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
金石かないわみなと、宮の腰の浜へ上って、北海のたこ烏賊いかはまぐりが、開帳まいりに、ここへ出て来たという、滑稽おかしな昔話がある——
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかしてみづかべんじてはるゝは、作者さくしや趣意しゆいは、殺人犯さつじんはんおかしたる人物じんぶつは、その犯後はんごいかなる思想しそういだくやらんとこゝろもちひて推測おしはか精微せいびじよううつして己が才力を著はさんとするのみと。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
米友は笑止おかしがって鍋焼饂飩に力をつけてやり、お茶を飲ませたり、こわれた道具を片附けたりしてやりました。