“うちかけ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
裲襠72.3%
打掛12.3%
6.2%
3.1%
内掛1.5%
打懸1.5%
袿襠1.5%
1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そう云いながら自分の手で裲襠うちかけをぬいでしずかに立った。誰にも言葉をさしはさむ余地のない、きっぱりと心のきまった姿勢だった。
日本婦道記:藪の蔭 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
左仲が煙管きせるもと差出さしいだすにぞ左仲は愕然ぎよつとなし思はずふるへ出せし體を見るより彼の者は莞爾につこと笑ひ左仲が側へ同じくこし打掛うちかけ旅人りよじんは何等のようにてかく夜道を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
袖口の切れたやうな長襦袢ながじゆばんに古いお召の部屋着をきてゐたその上にうちかけ無造作むぞうさに引つかけて、その部屋へ顔を出して行つたのであつたが、鳩のやうな其の目はよくその男のうへに働いた。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
折よく辺りに人もいませんかったので、御馬車の中も幾分見えました。すべらかしのおぐし白衿しろえりにおうちかけ、それらがちらと目の前を過ぎました。御陪乗の人はよく見えません。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
なるほど、淀君はご大典の時にでも着るような装束しょうぞくをつけ、厚化粧の上に十二重の内掛うちかけを着ている。そして今、豊臣家の大奥から出て来たばかりだといった様子であった。
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)
瀬川は打懸うちかけを引きながら入ってきたが、その客の前へきて、すらりと脱捨てると、右手に閃く匕首あいくち
傾城買虎之巻 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
あの馬方三吉うまかたさんきちの芝居に出て来るおひとしげ、———立派な袿襠うちかけを着て、大名の姫君ひめぎみに仕えている花やかな貴婦人、———自分の夢に見る母はあの三吉の母のような人であり
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そこへゆくと、狐のほうは、なんといっても役者が一枚上手で、角かくしをつけた花嫁姿になって加賀染のうちかけの褄をとってしゃなりしゃなりと出て来て踊ったりする。
生霊 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)