“いちょう”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
銀杏79.0%
公孫樹13.8%
異朝1.1%
銀杏樹1.1%
帷帳1.1%
移牒1.1%
鴨脚樹1.1%
幃帳0.6%
惟朝0.6%
鴨脚0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
本郷の大学前の電車通りを、轟々ごうごうと音立てて電車が通った。葉の散りかかった銀杏いちょう並木の上に、天が凄まじい高さで拡がっている。
風宴 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
その日は、ひどく冷たい北風が吹きすさんで、公孫樹いちょうの落ち葉やけやきの落ち葉が、雀の群れかなんぞのように、高く高く吹き上げられていた。
再度生老人 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
こんな異朝いちょうの故事や、いちいちな辞解などは、いま宋学そうがく流行のなかにある宮廷人か、またはよほどな篤学者とくがくしゃでもあるならいざ知らず、一般の鎌倉武者や土豪などでは
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
野は秋も暮れて木枯こがらしの風が立った。裏の森の銀杏樹いちょう黄葉もみじして夕の空を美しくいろどった。垣根道にはそりかえった落葉ががさがさところがって行く。もず鳴音なきごえがけたたましく聞える。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
窓間壁まどまかべに色の塗ってある大きな寝室、縁剜形ふちくりがたに金の塗ってある化粧室、帷帳いちょうや大きな肱掛ひじか椅子いすのそなえてある元の法院長の客間、などがあって、また庭もついていた。
内務省の地理局長が全国の府県に移牒いちょうして、これと同種の郡町村の字名調べをさせているのだが、この県のごとくその複本が保存してあり
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
譲吉は、久し振りに暢然のんびりとして一日を暮して見たいと思った。朝飯が済むと、彼は縁側に寝転ねころんで、芽ぐむばかりになった鴨脚樹いちょうの枝の間から、薄緑に晴れ渡った早春の空をながめて居た。すると
大島が出来る話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
時に長生王の后臨月に近付き夫に語るは、何卒なにとぞ朝日初めて出る時幃帳いちょう内に妾を臥せしめ、四つ辻で象馬歩車の四兵の闘う処を見せ、闘いに用いた利刀の洗汁を飲ませて欲しいと。
惟朝いちょうの重臣、中興の良士なり”
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
姉は話しながら裁縫しごとの針を止めぬのである。前に鴨脚いちょうの大きい裁物板たちものいたが据えられて、彩絹きぬ裁片たちきれや糸やはさみやが順序なく四面あたりに乱れている。女物の美しい色に、洋燈ランプの光が明かに照り渡った。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)