“いけにえ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
犠牲57.4%
生贄29.7%
5.9%
2.0%
犧牲2.0%
生犠1.0%
生牲1.0%
1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
新しい朝廷を確立するための犠牲いけにえとして一門親族から涙をそそがれて島へ来ている人身御供ひとみごくうのわが身ぞという悲壮なこころもちなのだった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さるゆえ竜造寺長門、これをあやめるに何の不思議があろうぞ。憎むべき仏敵斃すために、人夫の十人二十人、生贄いけにえにする位は当り前じゃわ
前に挙げた陸中化粧坂の薬師堂に美女を以て池の神のいけにえとした口碑を伝えるのも、その薬師の賽日さいにちという四月八日と関係あることは、同時に報告せられた武蔵井ノ頭の弁天の申し児なる長者の娘が
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
して見ると神々の思召しは、あなたを大蛇のいけにえにするより、かえって私に大蛇の命を断たせようと云うのかも知れません。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ほんとに私が彼にいて行くとしたら——ほんとに彼のすゝめる犧牲を拂ふとしたら、私は絶望的にやりとほすだらう。私はすべてのものを祭壇へさゝげるだらう——魂も生命いのちもまつたき犧牲いけにえをも。
「よい生犠いけにえが、来よりました。老人、若いの、御好み次第、生のよい生胆いきぎもがとれる——牧殿」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
残虐な生犠いけにえを神仏に供し、自分の命をさえ、仏に捧げて祈りはしたが、それは、その調伏を成就して、多数の人々が幸福になれば、生犠は仏に化すという決心と信念とからであった。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
葉子は荒神に最愛のものを生牲いけにえとして願いをきいてもらおうとする太古たいこの人のような必死な心になっていた。それは胸を張り裂くような犠牲だった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
壇の四方には、笹竹ささだけを建て、清縄せいじょうをめぐらして金紙きんし銀箋ぎんせんはなをつらね、土製の白馬をいけにえにして天を祭り、烏牛をほふったことにして、地神をまつった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)