“あんな”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
彼様35.1%
那麽28.1%
彼那10.5%
彼麽5.3%
如彼5.3%
那麼3.5%
彼樣3.5%
阿麼1.8%
彼麼1.8%
辺麽1.8%
那様1.8%
那樣1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「ぢや、姉さんは、あの吉野とか云ふ法学士の方が好いのですか、驚いたこと、彼様あんなニヤけた、頭ばかり下げて、意気地いくじの無い」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
感情が粗雜で稚氣があつて、ひとりで感激してると言つた樣な詩なんでさ。新時代の青年が那麽あんな古いものを崇拜してちや爲樣が無いね。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
何を彼那あんなに狙っているのか。……やったな。驚いた。俺さえ予定には入れていなかった此は一幕だ。——ついでに、一寸手を貸すかな。
対話 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
それも君一人ならだね。彼麽あんなに年老つた伯母さんを、………………………今迄だつて一日も安心さした事つて無いんだ。君にや唯一人の御母さんぢやないか、此以後このあと一體どうする積りなんだい。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『大きにお世話だよ。』とお大は憤々ぶり/\して、『お氣毒きのどくさまだが、松公は此方こつちが見切をつけて縁を切つたんだよ。如彼あんなひよつとこの一人や二人、欲しけりや何時いつでも貴方あなたに上げますよ。』
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
むかしから物語ものがたりほんにもある、むね白羽しらは征矢そやつか、もなければ狩倉かりくらとき貴人あてびとのおまつて御殿ごてん召出めしだされるのは、那麼あんなのぢやとうはさたかかつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
聞いたよ。首無事件や五人殺しで警察が去年から散々さんざ味噌を付けてるもんだから、今度の事はそれ程でも無いのを態と彼樣あんなに新聞で吹聽させたんだつて噂も有るぜ。
所謂今度の事:林中の鳥 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
いずれにせよ、兇行は邪魔者がいなくなってから、油断をみすまして一撃のもとに行われたものである事は明瞭である。邪魔者がいて、どうして阿麼あんな手際よい殺害振りが出来るであろうか。
旅客機事件 (新字新仮名) / 大庭武年(著)
一体、什麼心算で、阿麼あんな事を僕に頼んだのだ?
旅客機事件 (新字新仮名) / 大庭武年(著)
「まさか酔っていても彼麼あんなものを入れて帰る筈がない。筈がないが……併し別に外の物が這入っている筈もないのだ。」
香爐を盗む (新字新仮名) / 室生犀星(著)
だが何だね、バイロンはう古いんでさ。辺麽あんなのは今ぢや古典クラシツクになつてるんで、彼国むかうでも第三流位にしきや思つてないんだ。感情が粗雑で稚気があつて、ひとりで感激してると言つた様な詩なんでさ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
段々だら/\りの谿底たにそこに、蹲踞しやがむだやうな寺の建物が見え、其の屋根を見渡しに、ずつと向うの山根やまねちつぽけな田舎家がこぼれたやうにちらばつてゐて、那様あんな土地ところにも人が住むでゐるのかと思はしめる。
茸の香 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
世間の人はどうして那樣あんなに、何の用意もなく無意味無目的な質問を亂發するのだらう。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)